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にほんご練習帳

思ったことや感じたことを文章に表現する訓練のためやってます。できるだけ毎日続けようと思ってます。

読書感想文 「極北」(マーセル・セロー著、村上春樹訳)

以前、図書館で借りてみて
面白かったのですが途中で返却期限が来て読了できず、
いつかきちんと買って読みたいと思っていた本です。


人間が滅びかけている終末の世界で生き抜く、
一人の女性を描いた物語。


ぼくは海外ドラマ「ウォーキング・デッド」が好きなので、
冒頭描かれている世界観に少し重なるところを感じ
すんなり入っていけました。


村上春樹さんは訳者あとがきの中で、
翻訳は2012年だったので、この作品を読むと否が応にも
震災と福島原発の事故を想起せざるをえない、と書いています。



ぼくが、この本を読んで一番強く感じたのは
人間の一番の敵は、自然や災害でもなく人間なのかもな、
ということでした。


昨年あたりから中東を中心に、国家間やテロ組織との戦争が
クローズアップされる機会が増えています。


自分でも、最近戦争に関する本を読んだり
NHKの「映像の世紀」を観たこともあり
頭の中に、そんなことが占めているタイミングで読んだということが
あるかもしれません。


この本を読むまで思っていたのは、
長い長い人類の歴史の中で見たとき
戦争やテロなどの殺し合いは、増えすぎた人間の数を減らすための
本能として調整機能のようなものなのかも、
と思っていました。

ほかの動物たちで見ても、
そういうことはあるのかもしれない、と。


しかし「極北」の中で
人間たちは、絶滅を目前に控えた状況でなお
自分の身を守るために、激しく殺し合いをしています。

それは、そのときがきたら実際にそうなるんだろうなと
リアルに感じることができます。


そういうぼくも、同じ状況に置かれたら
自分と家族を守るためなら
同じようになってしまうはず。


いったい絶滅するまで殺し合う動物ってほかにいるんだろうか、
そうでなければ、いったいどこまで人間の数が減れば
争いがなくなり、平和な世の中になるんだろうか、と
読み終わった頭の中で、ぼんやりと考えてしまいました。



この物語は、絶望だらけです。
でもそのなかで、ほんのわずかな希望が生まれる瞬間があり
そのときに、生きる喜びみたいなことを
主人公と一緒に感じることができます。



最近見かけた倉本聰さんのインタビューで倉本さんが、
これからの時代は、何が自分にとっての幸せなのか
しっかりと考え、意識して生きていった方がよい、
というようなことを言ってました。



「極北」を読んだ今、

ぼくにとっての幸せとは

一緒に生きていく人がいること、

そしてその人たちに求められ、必要とされることなのかなと思いました。