子どもは2歳くらいまでは、ほとんどペットのようだと思う。
実家ではかつて犬も猫も飼っていて、ぼく自身がペットとまさに家族として過ごしてきた経験から、そう思う。
つまり、ただひたすらに可愛がってあげられる存在ということだ。彼らに実利的な見返りを求めることはない。そこに存在してくれるだけで、自分にとっての力になったり癒しになったりする。
ではそこから先、ペットと子どもは何が違ってくるのか。
一番大きな違いは、子どものためにあえて叱ったり、厳しい道を歩ませる必要が出てくることだと思う。
親としても、覚悟を試される辛い選択がたくさんある。ただ可愛がってあげればよかった時期は、もう戻ってこない。
ペットはどちらかが先に死ぬまで、ずっと一緒に過ごすパートナーだけど、子どもはそうではない。いつか一人の人間として巣立っていく。そのための成長を促していかなければならない。
自分自身が大した人間でもないのに、子どもを一人前にしなければと悩む。そのことでまた親として、人間として、自分も成長しているのだと思う。同時に、自分の両親が注いでくれた愛情に気づいたりもする。
子どももペットも、どちらもかけがえのない存在だ。
町田康が愛犬を悼む歌「スピンク」を聴いているうちに、そんなことを考えていた。