仕事でバンコクを訪れた。
明確に身分の違いが存在し、究極の洗練と猥雑さが背中合わせに、時には入り混じる街だ。
ものすごい数の人間が様々な目的ですれ違う道路。車と車の、人一人やっと通れるかというようなギリギリの間を3人乗りのバイクがすり抜けて行く。多くがヘルメットすらかぶっていない。乗り合いバスは扉を開けたまま走り、動いてる途中で客が乗り降りしている。どこかの現場へ向かうのか、猛スピードで走るハイラックスの荷台には作業員らしき男性が何人も載っている。
バンコクに限らず、東南アジアを訪れていつも感じるのは「人の命の軽さ」だ。
でもそれは、日本の極端なノーリスク社会に慣らされたぼくにとって、否定的な感情ではない。
むしろ「所詮、人は自然の営みの一部」という割り切りを感じ、清々しささえ覚える。
それは「自分の身は自分で守る」「守れなかったら自分の責任」という、ある意味非常に大人な社会であり、地球上に生きる動物の一種としては、ごく自然な心構えだと思う。
久しぶりの海外だったけれど、やはりたまには異国の空気を吸って、日本の常識にあわせてカスタマイズされた自分の脳みそをリセットすることが大切だと感じた。