うちの貯蓄は一部、投資信託にまわしている。3年くらい前から始めてちょいちょい買い足していて、成績はプラス60万円くらい。元手の額を考えたら結構上出来だ。なにしろ預けているだけである。
大学に入りたての頃、新聞配達のアルバイトをしていた。
朝4時に起きて毎日2時間程度、休みは新聞休刊日の月1回のみである。実働時間は短いとはいえ、毎朝4時起きとなると前の日の行動もかなり制限される。6時に帰ってきて二度寝といっても、一度起きたカラダがそう簡単に寝付けるわけもなく、結局一日寝不足気分で過ごすことになる。控え目に言っても相当にしんどい仕事だった。
で、それがだいたい手取りで5~6万円。つまり新聞配達を1年間やり続けた収入を、ただ投信にお金を預けているだけで稼いでいることになる。
ホクホクな一方で、当時の自分がかわいそうな、やり切れない複雑な気分だ。
お金とは何かの対価であり、価値の交換で得るものだと思っていた。もちろんそれが基本だろう。自分が希少な価値を提供できればできるほど、多くのお金を得やすい。
でもそれだけではないらしい。投資信託で得たお金というのは何の対価なのか。
おまけに現金が手元にあるわけでなく、口座上の数字が日々増減しているだけだ。売って利益を確定させない限りは自分のお金でもない。いったいこの数字は何を意味するのか。考えるほどによくわからなくなるのだ。