ある外国で、電車の改札を全部とっぱらって電子決済にしたという記事を読んだ。
不正乗車しようと思えばいくらでもできるのだが、その割合はそれまでとほとんど変わらなかったらしい。一方で改札待ちや乗車券購入の手間などが軽減され、業務の効率化や乗客増につながったとのことだった。
こういうことってよくある気がする。
全体で見たらわずかな不正を防止しようとするあまり、いろんな手間が増え、誰の得にもならないようなこと。
ある得意先にキャンペーン提案をしたときのこと。
商品にシールを貼っておいて、それを応募券代わりにするというよくある方法だ。
それについて先方のある担当者が「この方法だと店頭でシールだけはがして応募する人が出てくるんじゃないか」と発言した。
たしかに可能性はゼロではない。たぶんそういう人はいるだろう。
でもそれを防ぐためにたとえば「レシート応募」にすると、応募者数は激減するのが目に見えている。お客様の興味を促し、買いたい気持ちになってもらうキャンペーンであるはずが、手間を増やし応募意欲をそぐようだと意味がない。
一番大切なのは「何のためにやっているのか」という目的だ。何事も不正を防ぐことに気を取られて、目的を見失わないようにしたい。