どんな円満な夫婦でも、日ごろ思っていてもなかなか奥さんに言えない不満が一つやふたつはあるだろう。実はぼくもずっと前から言えないことがある。
それは彼女が、こちらが些細な何かしてあげたことに対してすぐに「すみません」ということだ。たとえば家の階段ですれ違えなくて譲ったときとか、両手がふさがっているからドアを開けてやったりとか、そういうときに彼女は「あぁすみません」と言う。実家の義母もよくそう言うのを聞くから、たぶん子どもの頃からしみついているのだろう。
でもぼくは、そこは「ありがとう」と言ってほしい。彼女が感謝の気持ちで言っているのはわかっているし、なにも恩を着せたいわけではないけれど「すみません」と「ありがとう」では言われた方の気持ちはけっこう違うものだから。
「すみません」と言われると、こちらが相手を申し訳なく思わせた気持ちになってモヤっとしてしまうのだ。
前にも書いたが、プライムビデオでバチェラーを観ていて気付いたのが、彼が「ありがとう」の達人であることだ。とにかくちょっとしたことでも、心をこめて「ありがとう」「嬉しい」と伝える。そうすれば相手だって当然嬉しいし、もっと彼のためのしてあげたいと思う。コミュニケーションに好循環を生むスキルをもっていることが、彼の魅力でもあるように思った。
なんだけど、彼女には言えない。相手の気分を害してまで伝えることじゃないし。ずっとモヤっとしていくことだろう。ここに書いて少しだけ発散することにした。つまらない話ですみません。いや、読んでくれてありがとう。