2011年3月11日14時46分。
ぼくは渋谷のオフィスで仕事中だった。
恐ろしい揺れと、天井や壁からパラパラとなんだかわからないものが落ちてくる様子に、生まれて初めて「もしかしたら死ぬかも」と本気で思った。
あの恐怖はいまでも鮮明に覚えている。
4時間かけて、2歳の息子と妊娠中の妻が待つ家まで歩いた。
携帯電話もつながらない中で、次もっと大きな地震がきて家が崩落したら、とか、家族が避難したら会えるのか、とか、歩いている間中ぐるぐる考えていた。
次の日には原発の爆発を知り、しばらくはひたすらPCにへばりついて情報収集をした。
今振り返ると、どれも(自分にとっては)最悪の事態は回避され、家族4人で元気に暮らしている。
でもそれは結果論でしかない。
たまたま自分が悲劇の中心から外れた場所にいただけで、次もそんな幸運に恵まれる保証はどこにもない。
最善の備えと、今の幸せへの感謝と、日々悔いなく生きること。
それを忘れないようにしたい。