にほんご練習帳

思ったことや感じたことを文章に表現する訓練のためやってます。できるだけ毎日続けようと思ってます。

ディーラーで学んだこと

新車の購入を考えていて、ディーラーを2店舗まわった。そこで出会った2人のセールスマンの対応は自分にとっても学びがあったので記しておきたい。


購入の動機としては、今の車がだいぶ古くなってきて買い替え時というのが一番だけど、どうせならキャンプシーズン前には車を変えたい、ということでこの時期になった。そして買う以上はできるだけ安くいい買い物をしたいから、最低2店舗は行って競合してもらうことになる。


もともとクルマに強いこだわりがある訳でなく、実用性と価格重視。正直ディーラーを訪問するのも楽しみではなく面倒くさい気持ちが強い。ましてぼくは人見知りだから、営業マンのセールストークを聞かされ、そしてどちらかは断ることになるのも考えただけで億劫だ。そんな感じで重い腰をあげて向かった。


結論から言うと、最終的な価格はどちらもほとんど同じ。担当者への印象が良かった2軒目のディーラーから買うことにした。


1軒目の担当Kさん。出迎えから見送りまで接客態度は非常に丁寧で、お店はお菓子やキッズコーナーも充実しており、子どもたちはむしろ1軒目がお気に入りだった。しかし肝心な商談になると、Kさんは「売りたい」気持ちが前面に出過ぎていた。いかにこのオプションが必要かとか、この価格がどれだけおトクかとセールストークをしておきながら、いざこちらが「このオプションはいらないかな~」と言えばあっさり引っ込めてしまう。終始、こちらと「駆け引き」をしながら落としどころを探している様子がありありとうかがえた。


一方2軒目のMさんは、初めから「限界価格」と明言して提示してきた。そしてここは純正ではなく社外品を使うとか、アルミホイールをサービスして夏用タイヤにとりつけるが、元々ついていたスチールホイールをスタッドレスの方に組み替えることでホイール1組分安くなるとか、その価格を出すための工夫と根拠を明解に、具体的に説明してくれた。その上で「足回りの防錆オプションは、雪国では融雪剤の影響があるから絶対に外さない方がいいです」と言われると、こちらも「なるほど」となる。そして説明はとてもにこやかで好感がもてる口調ながら、その端々から、駆け引きをするつもりはない、この提案に納得できなければ他の店でどうぞ、というメッセージを発しているのが伝わってきた。それは裏を返すと、お客さんにとって「ベストな提案」をしている自信だと受け取った。


1軒目のKさんは商談後もハガキをくれたり電話をしてきたりと熱心だった。そのたびに「もっと価格も頑張ります」と言うので再度訪問してみたが、具体的な提案はない。「いくらなら買うか」「そこまでは無理なので●●万円でどうか」とにかく価格の駆け引きにしかならない。Kさんとの2回目の商談を終えて価格はほぼ同等だったが、ぼくと妻は迷いなく2軒目のMさんから買うことを決めた。


ぼくも仕事柄商談をする機会が多い。売りたい、買ってほしい、その気持ちは当然だ。でもそれ以前に顧客にとって「買う価値がある」ということに、売る側が自信をもたなければはじまらない。そして自信をもてるだけの提案でなければならない。これはいろんな教科書に書いてあるような当たり前の話かもしれないが、自分が顧客の立場に立って経験できたことで、強烈な教訓として心に刻みつけられた。