にほんご練習帳

思ったことや感じたことを文章に表現する訓練のためやってます。できるだけ毎日続けようと思ってます。

スポーツ中継のジレンマ

先日の「世界リレー」を放送したTBSに対する批判記事を読んだ。男子4×100m、それも日本チームだけを盛り上げようとするあまり、他の競技へのリスペクトが足りない構成になっていたこと。そのせいで、本来快挙であるはずのマイルリレーの好タイムが注目されることもなく、日本が銅メダルを獲得した2×2×400mに至っては、決勝の途中で放送が終了するというお粗末さ。「どうせ日本の視聴者は有名選手・メジャー競技にしか興味を示さない」と言わんばかりの内容に、バカにしすぎであると指摘する主旨だった。


ぼくもスポーツ観戦が好きなので、筆者の主張には200%くらい同意したい気分だ。でも一方で、この手の批判は何度も繰り返される問題提起でありながら、永遠に解消しないだろうとも思っている。この筆者のようなスポーツファンと、民放の番組制作者とでは、そもそもの立脚点がまったく違うからだ。


スポーツファンは純粋に競技に集中して楽しみたい。望みはそれだけである。大げさに感動仕立てにされるストーリーや、タレントがはしゃぐリポートなどは邪魔でしかないと考える。でも民放が放送する目的は「視聴率を稼ぐ」こと。その一点に尽きる。そのためには、いかにスポーツファン「以外」の人に見てもらうか。そこに執念を燃やすことになる。(おそらく)はっきり言えば、スポーツファンの評価はどうでもいいのだ。だってどんな番組にしようと観てくれることがわかっているから。ある意味「計算できる数字」であり、彼らの希望に沿う番組づくりをする理由がない。そう考えると、ファンのスポーツ中継への不満が解消される日は永遠にこないことが想像できる。


とはいえ、プロ野球こそ近年はWEBでの中継が充実し、マニアックなファンとしても満足できる環境が整ってきたが、今年はラグビーW杯、来年はオリンピックとビッグイベントが目白押しである。期待できないとはわかっていながら、安易な盛り上げに走らず、スポーツ本来の感動を伝える工夫と努力が見られる番組を観たいと願ってしまう。