以前、付き合っていた子に「『ほんとに好き』っていう気持ちが伝わってこない」と言われたことがある。
「ほんとに好きか?」と問われると、そのとき正直に言って、よくわからなくなった。
「好き」と「ほんとに好き」の差はどこにあるんだろう?
会っていないときでも彼女のことを考えるし、一緒にいたら楽しい。ずっと側にいたいと思う。だから「好き」なんだろうと思うけど、そんなことをいくら口で説明しても、彼女は納得してくれなかった。
ぼくは基本的に他人に対しては「嫌われたくない」という気持ちが先にくる。好意をもっている相手にはなおさらだ。深く踏み込んで「鬱陶しい」「面倒くさい人」と思われることがなにより嫌だ。だから彼女に対しても、一緒にいたいという気持ちと、負担に思われたくない気持ちがいつもせめぎ合っていた。
そんなスタンスが彼女にとっては物足りなかったんだと、今では思う。
「ほんとに好き」なら、理性よりも先にもっと気持ちを前面に出してほしい、そう思っていたのかもしれない。
でもぼくは彼女のことが大切に感じれば感じるほど、「嫌われたくない」気持ちが強くなるから、そこが噛み合うことはない。
「好き」ってなんだろう。
やっぱりよくわからない。