あまり感じたことがない種類の感動だった。
昨日放送のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
知床に生きる猟師、久保俊治。
集団で追い込み仕留める「狩り」は、動物に対してフェアじゃない気がすると言う。
善悪の問題ではなく、それが自分の方針だと言う。
動物の生命を狙うことに、自分の生命を賭ける。
そんな彼が、エゾシカを撃ち殺し、解体するシーンがある。
腹を裂き、心臓を取り出す。皮を剥ぎ、部位ごとに切り分ける。
その映像に残酷さはかけらも見当たらない。
それは、あくまでも大自然のひとつの営みとして存在しているからだ。
もし大地の神というものがいるなら、それは神に赦された行為だと思った。
そして、ライオンでもヒグマでもなく、ひとりの人間が「赦された存在」として生きている姿に、胸の奥が震えるような感動を憶えた。
ただ「生きる」、それだけのために仕事をする。「自分」だけが存在する世界。
彼にとっては幸せも不幸もないだろう。それは、どこまでいっても他の誰かを物差しにしているにすぎないことだと気づかされた。
まさに「人間のプロフェッショナル」。
彼のようには生きられない。でもこの世界に彼のような人間が存在する事実に、生きていく勇気を与えられた気がした。