小学生のときに読んだマンガだから、おそらく30年ぶりくらいになる。
もともとは図書館であしたのジョーを借りようと思ったのだが、貸出中だったので「そういえば」と思い出した。
あしたのジョーよりも少し子ども向けだが、今読んでもめちゃくちゃ面白い。
暴れん坊でちゃらんぽらんだが、卑怯なことは大嫌いな石田国松。めっぽうケンカが強く運動神経も抜群な彼が、ハリス学園のいろんな部活動で大活躍するストーリーだ。
次々にワルや強敵が現れるが、友達や家族の支えもありながらやっつけていく。
大人になった今読んでみると、この作品の魅力は「絵」だと感じる。
もちろんストーリーも最高だし、ユニークで愛しいキャラクターばかりというのもある。
でもいちばんは、本当に「絵が上手い」ことだと思う。
ちょっとした表情や仕草から、微妙な感情が手に取るように伝わってくる。それを支えているのは、小さなカットでもすごく細かいところまで書き込まれている「情報量の多さ」だろう。
以前に川上量生さんが、ジブリのアニメについて大人にも受け入れられる要因を解説する際に「情報量の多さ」を挙げていた。髪の毛一本、木の葉一枚の揺れまでこだわって書き込まれている。観る方はそこに注目するわけではないけれど、その積み重ねがリアリティを増し、感情を移入させやすくなることにつながっている。
ハリスの旋風が、ストーリーは王道の少年マンガでありながら今読んでも熱中できるのは、そういう要因があるのかもしれない。