にほんご練習帳

思ったことや感じたことを文章に表現する訓練のためやってます。できるだけ毎日続けようと思ってます。

読書感想文「総理」(山口敬之著)

意外なシーンで幕を開けます。

場所はカンボジアポルポト派の砲弾が飛び交う戦場。死と隣り合わせの危険を冒しながら、スクープ映像をものにした若かりし頃の筆者の体験が、臨場感ある書きっぷりで描かれます。「リスクを冒してでも、取材対象に肉薄する」彼の信念がここで示されます。


本屋で気になりちらっと立ち読みしたところ、冒頭からグイグイ引き込まれ、こりゃあ期待できそうだと、kindleで購入しました。

とても面白かった。

筆者の山口さんは記者出身とのことですが、「読ませる」文章を書きます。そのときの情景や話し手の表情が、ドキュメンタリー映像を見ているように目に浮かんできます。

そしてまさに「肉薄」と呼べる安倍総理との距離感。ここまで一記者が政治家と、それも総理大臣と近しい関係になれるものなのか、と率直に驚きました。個人携帯でやりとりし、ときには安倍さんから麻生さんへのメッセージを預かる、または麻生さんに呼び出され「安倍さんに伝えてくれ」と指示を受ける。その信頼関係は強固です。だからこそ明かされる、安倍さんや麻生さんの素顔に近い姿。これはやはり一般のメディアでは読むことのできない、筆者ならではの「価値ある情報」です。

ぼくは安倍さんも自民党も支持してはいませんが、知らなかった世界を覗ける読み物としてすごく興味深く、山口さんの文章力もあいまって一気に読み切りました。


もっとも、そこまで取材対象と近い筆者による公の出版物であるので、自然と「安倍政権寄り」の内容となります。
まえがきやあとがきでは幾度も「客観的に」という言葉が出てきますが、本文からは客観性が保たれているとはいいがたい印象を受けます。


全体を通して、故意か無意識か、安倍政権のとった行動は正しく理論的で、それを否定する勢力のやることは愚かである、というスタンスで書かれています。


たとえば、政権の中枢にいる岸田さんや稲田さんの発言は「鋭く批判した」「時ならぬ強い口調で」など、スマートで毅然とした印象を与えているのに対して、打倒安倍を目指して総裁選出馬を表明した野田さんや、反原発を掲げた亀井さんの発言は「ぶち上げた」「口角泡を飛ばして興奮がちに」と描写するなど、政権側に肩入れする姿勢は明らかです。


また、安倍さんを「国民に受けない政策にも果敢に取り組む宰相」と持ち上げておきながら、本編でその裏側が詳細に綴られているのは、消費増税延期を決断した際の財務省との闘いなど「国民受け」の良さそうな事案が中心。原発再稼働や安保法制については、それに取り組む姿勢を筆者が賞賛するのみで、その意義や安倍さんの考えについては触れられていません。


このように、客観・公平性とはほど遠く偏った内容ではあるのですが、それでもこの本がもつ価値が損なわれるわけではありません


そこまで安倍さんに近い存在だからこそ書くことのできる、ほかにはない「真実」がたくさんあると思えるからです。


これだけの取材力・洞察力・文章力が揃った書き手はそうそういないと思われ、今後も山口さんの仕事には期待大です。

リアル店舗の活性化について悩み中

こんにちは

最近、仕事で百貨店やSCなどの売場について考える機会があったので、あらためて自分の行動を振り返り、なんとなく考えたことを整理しておきたいと思いました。


言うまでもなく、今はECが全盛の時代です。
ぼく自身もそうですが、WEBで買えるものはWEBで買います。価格が一瞬で比較でき、そのとき欲しいものを、一番安いお店で買える。これが何よりもメリットと感じます。
配送の利便性も格段にあがり、レビュー、評価がオープンになっていることで、お店の対応にストレスを感じることも少なくなりました。

価格競争になってしまうと、賃料や人件費を多く抱えるリアル店舗の分が悪いのは明らか。
少しずつお客さんが遠のきつつある、という状況なのだと思います。


そんな中で、「リアル」の場で伸びている市場・サービスは何か。

まずはアトラクションやスポーツ。USJはここのところ続けて入場料を挙げながら、来園者数は過去最高を更新し続けています。また、プロ野球でも各球団の努力が実を結び、観客動員はパリーグを中心に年々増加中。キャンプなどのアウトドア、ロードバイクなどのマーケットも盛り上がっていると聞きます。


このことを考え、また自分の行動を振り返っても、「お金を使いたくない」というわけではないのです。

普段の買い物では、WEBで検索し100円でも安いものを買うぼくでも、球場に野球を観に行ったら1杯700円もするビールを飲んでしまいます。つまりただ「買うだけ」なら、少しでも安く効率的にお金を使いたい。一方で「楽しんでいるとき」には、あえてあまり深く考えず、ある意味お金を使うこと自体も「楽しみ」ととらえて消費します。


じゃあどんな売場だったら、WEBでなく、そこに買いに行きたいと思うか。とても難しい問題ですが、カギは「エンタメ性」にあるような気がします。


最近、伊勢丹が展開しているコスメ売場で、口紅をズラッと並べて「試し放題」とうたっているところがあります。売場の見た目も壮観で、女性にとっては見ているだけで楽しく、実際に試す気分も上がるのかもしれません。

買物がただ選んでお金を払うだけの行為ではなく、「エンタメ」として受け入れてもらえる売場をつくれたら、そこはカテゴリー問わず、お客さんは集まってくれるのではないでしょうか。

ではどうすればよいのか。とてもとても高いハードルですが、引き続き考えていきたいと思います。


これが格差社会か...

こんにちは

仕事の打合せで、普段どんな買い物をしているかの話になりました。

ぼくは、服や靴など定価で買うことはまずなくて、欲しいものがあったら、WEBでそれを最安値で売っている店を探して買う。またはセール期にリアル店舗でまとめ買い、という感じです。
靴下や下着などの消耗品はしまむらユニクロ、ドンキなどでも買います。


一方、60代前半、昔は部長職にあって今は再雇用で嘱託になっているおじさま。
昔も今も、バーゲンで買うことはない。海外ブランドを中心に、百貨店やWEBでほしいものを欲しいときに買う、というスタイル。食料品もデパ地下で。週に2回はジムのプール通い。郊外にロッジを購入しており週末は奥様とそこで本を読んだり畑を耕したり。


聞くと最高時の年収は、今のぼくの2倍以上。そして今は嘱託で給料は安いというものの、一定の収入がありながら夫婦揃って年金を受給。まさに悠々自適という言葉そのものです。


これが同じ会社に勤める人間の生活なのか、とちょっと愕然としてしまいました。。

一方その方も、今の現役世代はそんな生活を強いられてるのか・・とショックを受けたご様子。


今の60代以上の人たちは、バブルを謳歌し年金も満額。言ってみれば勝ち組です。
比べられるものではないことはわかっていますが、さすがに羨ましくなってしまいました。


ぼく自身、もちろん収入が増えれば嬉しいですが、かといってすごく不満というほどでもなく、家族とそれなりに楽しみながら生活できているつもりです。


でも、上の世代のそんな話を聞いてしまうとどうしても「はぁ、今の時代は辛いよな~」なんて嘆きたくもなってきます。


「幸せ」に生きるためには、まわりと自分を比較してはダメですね。それを始めるとキリがありません。わかってはいたつもりですが、ちょっとしたことで揺らいでしまう自分の価値観のもろさを感じてしまいました。

めんどくさい

ぼくの人生には、常にこの言葉が分厚く高い壁として立ちはだかっています。


この仕事に必要な本を毎日50ページは読み進めよう。ランニングをしよう。ブログを書こう。決意をするたびに、この壁に跳ね返され、挫折を迎えます。


たぶん誰もが多かれ少なかれそんな経験はあるのだと思いますが、とりわけ自分はそうなのです。


人間関係でもそう。会社の後輩に対して「もう少しこうした方がいいよな」と思っても、結局「まあいいか」とめんどくさくなり、口出ししたりアドバイスすることはまずありません。


また、以前に友だちと、ふだん電車で席を譲るかどうかの話になったとき、ぼくが「譲ろうかどうしようか迷うのがめんどくさいから、基本は立っている」と言ったら妙に感心されたことがあります。


もう10年以上前の話ですが、その友だちはいまだに「めんどくさい」という言葉を聞くと、ぼくのことを思い出すと言ってくれます。


「めんどくさい」という気持ちは「まあいいや」につながり、細かいことを気にせず楽に生きられる良い点もなくはないのでしょうが、それにしてももう少し「めんどくさい」と闘う自分でありたいものです。


そこに打ち勝てることができたら、また一つ違った人生が切り開かれるような気さえしています。


でもとりあえず家に帰ったらテラスハウス観る。プロ野球スピリッツをやる。そうすると眠たくなって「本の続きはまた明日」となるでしょう。読み始めたとしても、きっと眠気と闘いながら何度も同じ個所を読んで、まったく頭に入らない。「あ~テラスハウスの前に読んどきゃよかった」と後悔しながら布団にもぐりこむ。


早くこの無限ループを抜け出したい。ここに書いたことがそのきっかけになってくれるのを願うばかりです。

宮﨑駿はやっぱり素敵だった件

こんにちは


日曜日のNHKスペシャル、宮﨑駿の回を観ました。

長年構想をあたためていた「毛虫のボロ」企画。
CGによってボロが動いている姿を見たときの彼の顔が、子どもが好きなおもちゃを見つけたときのように、本当に嬉しそうに輝いていたのがとても印象的でした。


もうひとつの番組のハイライト。翌日からかなり話題にもなっていましたが、ドワンゴ川上さんが、人工知能よって動く映像を紹介したシーン。

そのCG映像は、人間のようなものが動き回っているのですが、痛覚がない設定のため頭を利用して動き回るという、グロテスクなものでした。


川上さんによると、ゾンビゲームや映画の動きなどに使えると思っているとのこと。
ぼくも映像を見たとき、ふだんからウォーキングデッドなどのゾンビものを見慣れてることもあり、気持ち悪いながらもちょっとコミカルにも見えて笑ってしまったほどでした。


おそらく川上さんとしては、人工知能による、人間には思いつかないような表現の可能性を宮﨑さんに感じてもらいたかったのだと思います。


しかししかし。宮﨑さんは激怒します。自分には体の不自由な友人がいる。映像を見てその彼を思い出した。自分には生命の冒涜に見える、と。


現場は凍りつきます。川上さんほどの人を凍りつかせるのは、世の中広しといえども宮﨑駿くらいじゃないかと思いますが、まあそれは置いといて。

彼の「生命の冒涜」という発言は、なんかジーンときました。

前半の、CGのボロが動くのを嬉しそうに見入るシーンしかり、「いのちあるもの」への深い深い愛情のようなものを感じた瞬間でした。そしてこれまでの彼の作品は、すべてその目線で一貫していることも、あらためて思い起こされたのでした。


川上さんの、エンジニア・クリエイターとしての好奇心。宮﨑さんの、アーティスト・作家としての信念。どちらが良い悪いというものではありません。でもこれからの時代、宮﨑さんの存在は、人の心の拠り所として、ますますかけがえのないものになっていくような気がしました。

イジリーのニュースが高度なPR事例だった件

こんにちは


今日ヤフーニュースのトップに、こんなネタがあがっていました。
「イジリー 取材陣来ず催し中止」


イジリー岡田がカレー店とコラボした商品の発売イベントだそうで、オリジナルテーマソングのPVも公開される予定だったのが、陽の目を見ずに終わったそうです。


事前にマスコミ各社にfaxで取材案内を送ったが、前日までに1社も取材申し込みがなかったため、イベント中止を決定したとか。


正直、イジリーにもカレーにもさほど興味はないのですが、このニュースはすごい面白いと思いました。


イジリー側が「ニュースにしてほしいと思ったこと」ではなく、それが「完全スルーされたこと」が、皮肉にも天下のヤフーニュースのトップを飾ったわけです。


「皮肉にも」と書きましたが、実際はこの記事によりカレーの情報は多くの人の目に触れたわけで、イジリーや店側としてはこれ以上ない「結果オーライ」でしょう。

事前に計画されていたイベントの取材記事では、おそらくヤフーのトップにはなっていないのではと思います。


つくづく、今のニュースの決め手となるのは、発信者側の「準備された情報」ではなく、受け手目線の予測不能な面白さなんだな~と実感しました。

テラスハウス熱、継続中

こんにちは

先日、Netflixテラスハウスにハマっていることを書きましたが、その熱がさらに高まってきています。

もう、元々観ていたハウスオブカードよりも優先してしまうくらいです。


なにがそんなに面白いのか、ぼんやり考えていたのですが、番組中でYOUがふと発したことばが、その後だんだんと腹落ちしてくるようになりました。


それは、慎という男の子がある失態を犯し、でも本人はそのことを悪いと思っていない風だったときのこと。その場面をスタジオの面々がダメだしをしている中で、YOUは「みんな誰しもこんな変なことしてるのかもしれないね」というような主旨のことを言いました。


確かにそうなのです。みんな自分の恋愛のやり方しか知りません。友だち同士で恋愛トークすることもありますが、たぶんお互い「本当に恥ずかしい失態」は自分だけの胸にしまっていることが多いはず。


でもテラスハウスは、おしゃれな家で、ドラマのような環境に身を置いた美男美女たちが、ダサ~い失態を犯します。それを覗き見る生々しさ、そして「こんなモテそうな奴がこんなことを!?」という意外性がとても楽しいのです。


まだシーズン1の途中で、今後どれだけ飽きずに観続けられるかはわかりませんが、今のところは十分満喫してます。自分なら絶対に見せたくないような「恋愛の恥部」を見る面白さ。ドラマにはないリアル。あいのりに匹敵するお気に入りになるかもしれません。