先日、糸井重里さんが「ほぼ日」の中で
映画や本には、作品のいい悪いとは別に
「自分が感情移入できるかできないか」の2通りのものに分けられる、
と書いていて、思わず深く頷いてしまいました。
というのも、
スターウォーズ新作を見に行く予定をしており、
その前にあらためて過去作品を続けて観たのですが
どうにも、もやもやしたものが残っていたのです。
つまらなくはないし、面白いかと言われれば面白いけど
好きかと聞かれれば、「うーん」と首をひねってしまいます。
この感覚は何だろうと思って、
これをテーマにブログを書いてみようかとも思ったのですが
どうにもまとまりがつかず、やめていました。
それはつまり、糸井さんの言葉を借りれば
自分が「感情移入できない」ものだったと思うのです。
そう思って振り返れば
アクションシーンは派手だし、映像もすごいのだけど
どんなに主人公たちがピンチに陥っても
ハラハラしないのです。
ダース・ベイダーが死んで、ルークが泣いていても
自分は悲しくないのです。
これが、自分の大好きな「ブラス!」だと
病床の父親ダニーのために、息子フィルが演奏しながら涙を流すシーンでは
何度見ても一緒に泣いてしまいます。
最近観た「バクマン。」でも、
リリー扮する編集長が「君たちの勝利だ」と告げるシーンでは
快感が全身を駆け巡りました。
どうやら自分にとっては、
「感情移入できる映画」=「好きな映画」ということのようです。
じゃあいったい、感情移入できるものとできないものでは
何が違うのか?
スターウォーズは、あえて心理面は淡白に描いているようにも思えるので、
まずは作り手側の意図というのはありそうです。
それはあるとして、さらに
「自分が感じたことのある気持ち」に近いものがある作品ほど
「感情移入度合い」が強いように思います。
もうひとつ好きな映画「イントゥ・ザ・ワイルド」を観たときのことです。
当時、妻は初めての子どもを妊娠中で
その誕生を待ちわびている時期でした。
映画では、主人公が両親に反発して家を出て旅立ち、その道中の様子とともに、息子を心配する両親が描かれています。
そしてその鑑賞中、主人公だけではなく
両親にも激しく感情移入している自分に気づきました。
そんな風に「子どもを想う親」の感情を
自分がいつの間にか手に入れていることを知り、
とても新鮮な気持ちになったことを憶えています。
やはり人生で多様な経験をすればするほど
感情の引き出しが生まれ、
いろいろな楽しさを知ることができるのだと思います。
これからも好きな作品がたくさん増えることが楽しみです。
とはいえ、スカイウォーカー親子の境遇は特殊すぎて、
感情移入できる日がくるとはとても思えないのですが・・