インターネットがうまれ、コミュニケーションが電話から一気にメール・テキスト文化に変わっていったのは20代くらいだったと思うのだけれど、その頃からぼくはなぜか「文章に(笑)を書かない」ということを、かたくなに自分に課していた。
(笑)はほんとうに便利だ。自分では軽くくだけた調子で書いたつもりであることを、その一文字でかんたんに表現できる。つまり、ぼくはそれに頼らずなんとか文章でニュアンスを伝えたいと思っていた。こちらが面白いと思っていること、相手に面白いと思ってもらいたいことを、読んで伝わることばで書きたいと。
友だちなんかと交わす些細なやり取りにもそのルールは適用されるから、けっこう大変だ。ひとことの返信でも「これだとぶっきらぼうに感じられるかな?」なんて気になってしまう。
でもあまり「考えた」返信であることが感じられると、せっかくの会話のリズムというか、そこで生まれていた軽妙な雰囲気を損ない、相手を白けさせてしまうだろう。そんなこんなをうだうだと悩みつつ、ことばを選んでいた。
それが実際的に何かの役にたったのかはわからない。というか、ほとんど何もないだろう。
でも、その自分なりに練りに練って投げた文章に対して、相手が期待通りのリアクションを返してくれるととても嬉しい。伝わった実感を得られると、かんたんに(笑)で済ませなくて良かったと思う。究極の自己満足だ。
と、ここまで書いておいてなんだけど、最近はけっこう使う。
むしろ多用している。
ひとに苦労してまで何かを伝えたいという欲求がなくなってきているのか...
一度使うとその異常な便利さから抜け出せない。もう歯止めがきかない。
でも書くたびに、心の中でちょっぴり罪悪感を感じている。
そんなまだほんの少し残っているこだわりを成仏させるために、今日はこんな文章を書いてみた次第だ。